長時間座りっぱなしで仕事をせざるを得ない人にとって、足のむくみが気になる人が多くいます。
座っている間は、体重の大部分が椅子の座面によって支えられます。この間、長時間お尻や太ももが圧迫された状態となり、この体勢が続くと血液循環が滞っていきます。血液の循環が滞ると、血管から染み出る水分がお尻や太ももより下の部分に溜まり、むくみの原因となります。
さらに注意が必要なのは、リンパの流れが滞ることです。リンパとは血液とは異なる経路で体内を循環している液体で、リンパ管は毛細血管のように全身に張り巡らされています。リンパの役割は、体内の余分な液体や老廃物を回収、排泄や免疫機能をつかさどることです。運動不足や座りっぱなしの姿勢が原因で下半身のリンパの流れが滞ると、体内の老廃物がふくらはぎに溜まり、むくみが生じます。特に、膝の裏にはリンパが集まるリンパ節があるため、立ちっぱなしや座りっぱなしで長時間足を動かさずに仕事をすると、リンパが滞りやすくなります。血液と同様に、足に溜まったリンパを押し上げ全身に循環させることが、むくみの改善に繋がります。
こまめに立ち上がることはもちろんですが、立ち上がった際、状況的に立ち上がれないときでも、カラダの巡りを絶やさないことを心掛けましょう。
立ち上がった時に
座ったままで
⑱ご存じですか? 座りすぎと死亡リスク
⑲座りすぎ対策に関する世界の動向
⑳私の座位行動時間、大丈夫?! セルフチェックと対処法
㉒座りすぎによるメンタルへの影響
【プロフィール】
◆岡 浩一朗(おか こういちろう)
早稲田大学スポーツ科学学術院、副学術院長兼スポーツ科学研究科長
1999年に早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程を修了、博士(人間科学)の学位を取得。早稲田大学人間科学部助手、日本学術振興会特別研究員(PD)、東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)介護予防緊急対策室主任を経て、2006年4月、早稲田大学スポーツ科学学術院准教授に着任。2012年4月より現職。専門は、健康行動科学、行動疫学。岡浩一朗オフィシャルWebサイト。ワセダオンライン「『座り過ぎ』が健康寿命を縮める」。
◆荒木 邦子(あらき くにこ)
早稲田大学スポーツ科学学術院非常勤講師
早稲田大学アクティヴ・エイジング研究所研究員
博士 (スポーツ科学) (早稲田大学)
健康づくり・介護予防事業立上げ・指導を経て2009年より現職。
ヘルスプロモーション、運動指導方法論、介護予防プログラム開発指導をはじめ
自治体・企業の健康づくり事業、地域活性事業に携わる。
日経プラスワン「カラダづくり」連載、NHKBS「チョイス」、TBS「あさちゃん」他出演。