①座りすぎにはどのような健康リスクがあるのか?

45~74歳の日本人男女8万3000人を9年近く追跡した研究において、日頃から適度な運動をしていたとしても、座る時間が長い生活を送っていると死亡リスクが高くなることが分かりました。特に男性において、座る時間が1日3時間未満の人たちと比べて8時間以上だった人たちは総死亡リスクが20%近く高かったのです。

日本人の総座位時間と総死亡の関連

男性

男性の場合、1日8時間以上の座りすぎが総死亡リスク↑
45~74歳の日本人83,034名を8.7年間追跡(死亡数4,564件)
年齢、調査地域、就労状況、糖尿病罹患、喫煙状況、飲酒状況、BMI、摂取エネルギー量、身体活動状況を調整

また、座りすぎの代替指標であるテレビ視聴時間と肺塞栓症(エコノミークラス症候群)による死亡との関係も、日本人中高齢者を対象にした研究で明らかにされています。その他にも、座りすぎは高血圧症や心疾患、ある種のがんなどの病気も誘発し、結果として死亡リスクを高めることが明らかになっています。

テレビ視聴時間と肺塞栓症死亡の関連

40~79歳の成人86,024名を19.2年間追跡(肺塞栓症死亡数59件)
年齢、性、BMI、高血圧・糖尿病の既往歴、喫煙状況、メンタルストレス、教育歴、歩行活動、スポーツ活動を調整

 

 

②座りすぎが健康に悪影響を及ぼすメカニズム

③知らず知らずに座り続けている働き盛り世代

④日頃の生活の中でできる座りすぎ防止対策

⑤~座りすぎ防止対策に効果はあるのか?~

【プロフィール】

◆岡 浩一朗(おか こういちろう)

早稲田大学スポーツ科学学術院、副学術院長兼スポーツ科学研究科長

1999年に早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程を修了、博士(人間科学)の学位を取得。早稲田大学人間科学部助手、日本学術振興会特別研究員(PD)、東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)介護予防緊急対策室主任を経て、2006年4月、早稲田大学スポーツ科学学術院准教授に着任。2012年4月より現職。専門は、健康行動科学、行動疫学。岡浩一朗オフィシャルWebサイト。ワセダオンライン「『座り過ぎ』が健康寿命を縮める」。