⑦身体の訴え、聴いていますか?

「体調良し」本当ですか?体調と一言でいっても、食事や睡眠、運動、ストレスなどにより、自律神経のバランスや代謝に至るまで日々微妙に変化しています。

コロナ禍で働く方々へのインタビューにおける50代男性・会社員の方の事例をご紹介します。自粛明けの一週間後に血圧が異常に高くなり、激しい頭痛に見舞われ救急搬送、くも膜下出血またはコロナ感染が疑われ、PCR検査、MRIなどくまなく脳の検査が行われたとのこと。PCR検査は陰性、MRIでも脳は異常なし。医師からは「自粛期間中の生活習慣の乱れが原因だと思います。生活習慣を見直してください」とのことで特に服薬もなかったとのことです。

その男性は、高血圧の持病があり医師から運動を勧められているにもかかわらず運動に取り組むことはせず、仕事にあけくれ、休日は食べる・テレビ視聴・寝るというようなことを続けていたそうです。自粛中はテレワーク、リモート会議など仕事はスムーズに進んでいたようですが、自粛前との大きな違いは「通勤」がなくなったこと。その男性は、「通勤で歩くことや、ささいな徒歩移動がどんなに大切だったかあらためて気付かされた」とおっしゃっていました。

30代、40代の方々からも、自粛期間中に「太った」「何となく足腰が弱ったように感じる」「息切れするようになった」など多くの声が聴かれました。

家事、庭仕事、通勤のための歩行などの日常生活活動、余暇に行う趣味・レジャー活動や運動・スポーツなど、全ての身体活動が健康に欠かせないものです。余暇やレジャーにはまだまだ制限を感じている方も多いと思います。新型コロナウィルス感染症は秋冬も予断を許さない状況です。「新しい生活様式」として、3密を避けることに加えて、身体の声に耳を澄まして、「動く・食べる・寝る」を中心とした日常の過ごし方を再確認しましょう。
座ってPC作業やテレワークをしている方へ
対策①…1時間に1回は立ち上がって(できれば、30分に1回)、足踏みやストレッチをしましょう。
対策②…一日何回か「あるきた」のブレイク回数をチェックし、座りすぎていないかどうか確認しましょう。
対策③…デスクの上に箱などを置いて、立ち上がってPC作業をする環境づくりをしてみましょう。もちろん疲れたら座ってください。高さ調整できる昇降デスクも市販されています。
⑥新型コロナウイルス感染症予防対策による外出自粛を振り返る

⑧おススメ…ながら運動!!身体よろこぶ「運動サプリ」

⑨何気ないその行動が未来を縮める?!

【プロフィール】

◆岡 浩一朗(おか こういちろう)

早稲田大学スポーツ科学学術院、副学術院長兼スポーツ科学研究科長

1999年に早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程を修了、博士(人間科学)の学位を取得。早稲田大学人間科学部助手、日本学術振興会特別研究員(PD)、東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)介護予防緊急対策室主任を経て、2006年4月、早稲田大学スポーツ科学学術院准教授に着任。2012年4月より現職。専門は、健康行動科学、行動疫学。岡浩一朗オフィシャルWebサイト。ワセダオンライン「『座り過ぎ』が健康寿命を縮める」。

◆荒木 邦子(あらき くにこ)

早稲田大学スポーツ科学学術院非常勤講師
早稲田大学アクティヴ・エイジング研究所研究員
博士 (スポーツ科学) (早稲田大学)

健康づくり・介護予防事業立上げ・指導を経て2009年より現職。
ヘルスプロモーション、運動指導方法論、介護予防プログラム開発指導をはじめ
自治体・企業の健康づくり事業、地域活性事業に携わる。
日経プラスワン「カラダづくり」連載、NHKBS「チョイス」、TBS「あさちゃん」他出演。