⑫リモートワーク・オフィス勤務中の「座りすぎ」対策『こっそりできる運動サプリ』

日本人は、世界一長い時間座っているということはこれまでもお伝えしてきました。日本のデスクワーカーは勤務中の7割を座って過ごしているといいます。1時間じっと座っていると余命が22分間縮まるというショッキングな報告もありますから、「座りすぎ防止」は健康の維持・増進の第一歩と言っても過言ではないでしょう。

まず、30分に一度は立ち上がっていただきたい。難しければ、1時間に1回でも立ち上がりましょう。しかし、リモート会議中や勤務中、用もないのに度々立ち上ったり、運動したりするには、周りの目線が気になるという方も多いかもしれません。そこで、今回は『こっそりできる運動サプリ』をご紹介します。

①『つま先上げ』

片方の踵、もう一方のつま先を上げ、交互に上げ下げ、10回程度。

②『片膝伸ばし』

片脚の膝を伸ばし、太腿に力を入れる。左右交互に2~4回程度。椅子から腿が浮かないよう注意しましょう。

③『座り直し』

座り直すようにして軽くお尻を浮かす運動です。椅子を軽く後ろに引き、両脚を腰幅程度に開き足に重心を乗せ、ゆっくりお尻をうかしてみましょう。軽く下半身に力が入っていることを意識できれば十分です(2~3回程度)。

一息できれば、上体をゆっくり左右に捻る。伸びあがるようにして、息を吐きながら捻るのがポイントです。

④ 『脚掛けお尻ほぐし』

片足首をもう一方の膝上あたりに乗せ、背筋を伸ばし、息を吐きながら軽く上体を前に倒します(左右、15秒程度)。

「座りすぎ」は、血流不良だけでなく、代謝の悪化を招きかねません。オフィスや自宅でエコノミークラス症候群になる可能性も…。そもそも人は動く(筋肉が活動する)ことで、筋肉の細胞内で血液中から糖のとり込みに関わるようなグルコース、脂肪の分解酵素といわれているリポタンパクリパーゼの働きが活性化し、糖や中性脂肪が取り込まれ、代謝が良好に行われています。

座ること自体が問題なのではなく、続けてじっと座っていることが問題なのです。ご自身のカラダを守るのは一人ひとりの心がけと行動が大切なのです。

⑩「長引くコロナ対策、メンタルは良好ですか?」

⑪腰痛予防のための正しい座り方やウォーキングをより効果的に楽しむための正しい歩き方とは?

⑬今問われる健康「2020,WHO身体活動・座位行動指針」から

【プロフィール】

◆岡 浩一朗(おか こういちろう)

早稲田大学スポーツ科学学術院、副学術院長兼スポーツ科学研究科長

1999年に早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程を修了、博士(人間科学)の学位を取得。早稲田大学人間科学部助手、日本学術振興会特別研究員(PD)、東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)介護予防緊急対策室主任を経て、2006年4月、早稲田大学スポーツ科学学術院准教授に着任。2012年4月より現職。専門は、健康行動科学、行動疫学。岡浩一朗オフィシャルWebサイト。ワセダオンライン「『座り過ぎ』が健康寿命を縮める」。

◆荒木 邦子(あらき くにこ)

早稲田大学スポーツ科学学術院非常勤講師
早稲田大学アクティヴ・エイジング研究所研究員
博士 (スポーツ科学) (早稲田大学)

健康づくり・介護予防事業立上げ・指導を経て2009年より現職。
ヘルスプロモーション、運動指導方法論、介護予防プログラム開発指導をはじめ
自治体・企業の健康づくり事業、地域活性事業に携わる。
日経プラスワン「カラダづくり」連載、NHKBS「チョイス」、TBS「あさちゃん」他出演。