長引くコロナ禍、「メンタルヘルス・ストレス」について思い当たる節はありませんでしたか?また、この状況下でご自身の健康維持にどう対処していらっしゃいますか?
運動不足、人とのコミュニケーションの減少、働き方の変化等による心身の健康状態の悪化が全世代的に懸念されています。また、テレワークでは「オン・オフ」の切り替えが上手くいかず長時間座り続けて作業している、中には、閉鎖的思考に陥ってしまう事例もあるようです。
Withコロナ期の健康相談では、「メンタルヘルス・ストレス」に関することが第一位でした(経済産業省,2020:株式会社iCARE調査)。「出勤またはテレワークしているにも関わらず心身の健康上の問題により充分にパフォーマンスが上がらない状態」、このように、パフォーマンスが下がったまま無理し続ける状態が続くと、「うつ状態」に陥ってしまうことも懸念されます。
原因としては、環境や仕事の負荷を含め、様々なストレスが挙げられます。ストレスを緩和するためにはウォーキングなどの適度な運動も重要ですが、長時間続く「座りすぎ」が影響していることも否めません。
最近、人の 1 日の行動を活動の内容や強度 (睡眠行動、座位行動、低強度身体活動、中高強度身体活動) で分類し、座位行動を低強度身体活動や中高強度身体活動に置き換えることができれば、健康への影響がどの程度改善するのかを検討した研究が散見されるようになってきました。
Yasunagaら(2017)は、都市部に住む高齢者にこの考え方を応用し、30分の座位行動を低強度身体活動に置き換えることができれば、「抑うつ症状」をある程度改善することができる可能性を示唆しています。
テレワークを含めた新しい働き方は、コロナ禍が過ぎた後も元に戻るのではなく、一定程度は定着することが予想されているのが現状です。このような渦中において、「ちょっと立つ」、「軽い用事を足す」など、座りすぎをできるだけ中断(ブレイク)することをお勧めします。
自身の健康行動を「見える化」し、健康を保つことが「自分ごと化」できるように、『あるきた』を通じて、主体的に『立ち上がる』、『歩く』行動で、自分らしく日々を過ごしていただきたいと思います。
⑪腰痛予防のための正しい座り方やウォーキングをより効果的に楽しむための正しい歩き方とは?
⑫リモートワーク・オフィス勤務中の「座りすぎ」対策『こっそりできる運動サプリ』
⑬今問われる健康「2020,WHO身体活動・座位行動指針」から
【プロフィール】
◆岡 浩一朗(おか こういちろう)
早稲田大学スポーツ科学学術院、副学術院長兼スポーツ科学研究科長
1999年に早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程を修了、博士(人間科学)の学位を取得。早稲田大学人間科学部助手、日本学術振興会特別研究員(PD)、東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)介護予防緊急対策室主任を経て、2006年4月、早稲田大学スポーツ科学学術院准教授に着任。2012年4月より現職。専門は、健康行動科学、行動疫学。岡浩一朗オフィシャルWebサイト。ワセダオンライン「『座り過ぎ』が健康寿命を縮める」。
◆荒木 邦子(あらき くにこ)
早稲田大学スポーツ科学学術院非常勤講師
早稲田大学アクティヴ・エイジング研究所研究員
博士 (スポーツ科学) (早稲田大学)
健康づくり・介護予防事業立上げ・指導を経て2009年より現職。
ヘルスプロモーション、運動指導方法論、介護予防プログラム開発指導をはじめ
自治体・企業の健康づくり事業、地域活性事業に携わる。
日経プラスワン「カラダづくり」連載、NHKBS「チョイス」、TBS「あさちゃん」他出演。